新里酒造

創業170年、沖縄最古の蔵元


泡盛業界に新風を巻き起こした泡盛101号酵母⭐︎

新里酒造は現存する最古の蔵元です。創業は1846年、首里の赤田で現在はうるま市に工場はあります。

泡盛は原料にお米を使用しますが、お米を糖化するために黒麹菌が使用され、そしてアルコール発酵するために酵母の力を借りています。

糖をアルコール発酵させる際、アルコールはもちろん、同時に二酸化炭素も生成されます。生成されるアルコールをうまく使ったのが泡盛を始め酒類業、二酸化炭素をうまく使ったのがパン類業です。

以前は泡盛1号酵母を使用していましたが、発酵の際の泡立ちがすごくて泡を抑えるために扇いだり扇風機を使用したりと醪タンクの様子を伺うために寝ずに管理したようですよ。大変です(> <)

6代目の故新里修一さんが沖縄国税事務所の鑑定官であった1988年に「泡なし酵母(泡盛101号酵母)」の分離に成功し実用化させました。それ以降、発酵の際の苦労が軽減されることになり、ほとんどの酒造所がこの泡なし酵母を使用することで生産量を伸ばすことに繋がりました。


また、新里酒造は2006年にISO9001を取得しています。ISOとは何ぞや?と思いますよね。笑

簡単に言うと、顧客や社会の要求する品質を満たし、ニーズにあった製品やサービスを作って提供するための品質管理活動ができていますよ!っと国際基準で合格通知をもらった感じです。


日本には以前から「JIS(日本工業規格)」という国家規格によって品質を保証していました。「JISマーク」見覚えありませんか? 鉛筆などの小さいものから工業機械類など福祉器具にもあります。品質規格を国際的に統一しようという流れがあり「ISO(国際標準化機構)」の提示する国際規格へのすり合わせを行っていますが、日本の品質管理はレベルが高く内容としては同一に扱われていますよ。「ISO9001」=「JIS Q 9001」

(引用:https://www.jisc.go.jp/newjis/newjismknews.html)

(引用:http://colleenpencil-fun.cocolog-nifty.com/blog/2006/10/index.html)

JIS(日本工業規格)は品質保障としての規格でしたが、ISO(国際標準化機構)では管理や仕組みの国際規格も扱っており、品質マネジメントシステムとして「ISO9000」があります。その国際基準に新里酒造は合格したということです。

品質だけでなく品質維持における工程も国際的に認められたということです。これから泡盛が海外展開していくにあたり、国際人が新里酒造の泡盛を手に取った時、品質の保証としての参考にしていくでしょうね。(あまりにも難しくてよく分かりませんが笑)

よく分からない国のよく分からないお酒を手にとって、これ飲んで大丈夫かな?飲めるかな?字も読めないし…。あ!ISO9001だ!

って事になるかは分かりませんが、国際的に保障されているということは強みですね(^ ^)⭐︎


ここからは、工場内の紹介ですよ。内部は機械化されて厳密な管理がされていると一目で分かりますよ⭐︎

洗米された米は浸漬タンクへ投入され約20分ほど水につけた後に、

ベルトコンベアで移動します

そして、連続式蒸米機でコンベアで移動しながら米は蒸されていきます。最新の均一化ノズルで蒸しムラをなくすことができ、また蒸気の量も約半分で済むのでエコな機械だとパネルに書いてありました♡ 機械は高そうだ〜

そして、米はほぐされながら適温に冷却されていきます。ここでも米はゆっくり移動しています。


それから、NFT自動製麹装置! この機械の中で黒麹菌が散布されたお米が温度・湿度管理され黒麹菌が米をハゼ(破精)ります♡ 

今回は新里洋二さんに案内して頂きました。醪も見せていただき丁寧な説明ありがとうございます♡

そうなんです!今回が初めてではなく、以前にも見学させて頂きましたが、その時はまだマイスターではなく試験勉強中でした。今回はキョロキョロ周りを見る余裕があって違う意味でも楽しめました。前回は新里健二さん現在の社長さんが案内してくれました。ダンディーな方ですよね⭐︎

そして蒸留器。左側(蒸気が見える釜)が常圧蒸留機で右側が減圧蒸留機です。

作りたい泡盛に合わせて蒸留方法も変えています。常圧蒸留は様々な成分が入り込みやすいため深みや重みがあるタイプが多いですし、古酒造りには向いているとされています。減圧蒸留は華やかでフルーティーさが際立ちより飲みやすい泡盛になります。

泡盛101酵母の話を冒頭にしましたが、そのパワーアップバージョンと言いますか、香りがより芳醇になった泡盛101H(ハイパー)酵母の開発に成功しました。現在、その酵母を使った「琉球泡盛 HYPER YEAST 101」が販売されています。ちなみに常圧蒸留50%、減圧蒸留50%でイイトコ取りしています♡ 華やかでフルーティーな香りが立つので全体的には軽やかな感じがして飲みやすいですよ。

泡盛マイスターの同期でもあり、新里酒造のマドンナこと新里智子さんとばったり会ったので記念撮影♡ お肌ツルツルで羨ましいです(><)何と、もろみ酢で作った石鹸で洗っているだけとおっしゃっていました!早速買ってボディーソープにしています♡ 

新里酒造の方々、見学の際は丁寧に対応していただきありがとうございました♡





やってきました! あおいの自己満レポート♡笑

今回は「酵母」についてです。

泡なし酵母と呼ばれている泡盛101酵母ですがここで疑問が出てきたんです。得意の…苦笑

アルコール(エタノール)発酵を化学式で表すと C₆H₁₂O₆ → 2C₂H₅OH + 2CO₂ + 2ATP

エタノールが生成されると同時に二酸化炭素も生成されます。これはエタノールが生成されればされるほど二酸化炭素も生成されます。

人は酸素を吸って二酸化炭素と水を吐いていますが、酸素を吸って二酸化炭素を吐かず水のみ吐くなんてできないように、酵母もエタノールだけ生成するなんてできません。

では、泡がなくなればエタノール生成も落ちるのでは?と思ってしまったのです。でもそんな後退的な研究はしないはず…なぜ泡が立たないのか…不思議に思い調べたんです。泡盛に関しては力不足で見つけきれませんでしたが、清酒の研究で面白い記事を見つけましたよ⭐︎

気泡に集まりやすい酵母と集まりにくい酵母がいる件! 気泡に集まりやすい酵母はアワアワになることは容易に想像できました。

トピックス7

-泡の立たない不思議なもろみ-   酵母が糖をアルコール発酵すると、Part 3でもお話ししましたが、アルコールと同時に炭酸ガスが発生します。これはビール酵母でもワイン酵母でも同じです。ビールでは、あの爽快感とクリーミーなきめ細かい炭酸ガスの泡が命です。シャンペンでポーンと景気良く栓が飛ぶのも閉じこめられた炭酸ガスによるものです。でも、ビールにしろワインにしろ発酵中のもろみでは清酒もろみのように大量の泡は立ちません。今から40年ほど前に、島根県のある酒蔵で泡の立たないもろみが見つかりました。蔵元にとっても初めての経験です。これは発酵していないにちがいない。気味が悪い、腐造だ!、と心配しましたが、不思議なことにやや香りは低いもののアルコールは充分出てお酒になり、一安心しました。しかし、「まてよ、これは面白いぞ」「何故だろう」が泡なし酵母の開発につながりました。これは、このなぜ?を解明し、今や酒造りの大半が泡を吹かないもろみになった泡なし酵母の物語です。 2.泡あり酵母と泡なし酵母はどこが違う?  さて、たまたま見つかった「泡なし酵母」は酒質がいまいちでしたので、これを改良するか、優れた「きょうかい酵母」の泡なし変異株を育種する必要があります。これは後者の道を選ぶ方が安心です。一般に酵母などの性質を変える方法として、酵母に紫外線を照射して突然変異株をつくり、その中から酒造りに適した性質を持った株を探す方法もあります。しかし、この方法では他の望ましい性質も失うことが多いのです。一方、紫外線を照射しなくとも、自然に変異を起こしている株も確率は小さいのですが必ず出現しているはずです。これを捕まえることにしました。問題は、何億もの酵母の中からただ1個の泡なしに変異した酵母を探し出すことが難題なのです。  そのためには、先ず泡あり酵母と泡なし酵母ではどこが違うかを調べます。顕微鏡で調べました。細胞の周りがもやもやしている(泡あり)、輪郭がはっきりしている(泡なし)ようですが、はっきりしません。化学分析は?、全く違いがありません。甲論乙駁、難産の苦しみが続きました。しかし、やはり顕微鏡です。酵母を見るために調製したプレパラートにたまたま気泡が入りました。プレパラートとしては失敗です。これを顕微鏡で覗いた途端に閃きまし

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きっと泡盛も同様なことだったと思います。

というのは、泡なし酵母と呼ばれる泡盛101酵母は泡盛1号酵母に比べ、醪初期における二酸化炭素の発生量が多く、醪の温上昇およびエタノール生成が早いとレポートに書いてありました。そうなると泡立ちは通常多くなるはずですが、泡が立ちにくいという性質は酵母の細胞壁の性質によるものだったと考えれば納得します。

参考文献:泡盛1号酵母から分離した泡なし酵母の性質について:新里修一 他3人,日本醸造協会誌 日本醸造協会誌 84(2), 121-123, 1989


見学日: 2017 年04月25日

文:泡盛マイスター 新里 葵


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