神谷酒造
沖縄の南部、八重瀬町にあり、家族4人でこだわった泡盛を作っています。
南部の希望の光となれ⭐︎⭐︎「南光」
今回は神谷酒造に伺いました ⭐︎
一度、泡盛マイスターの筆記試験前に目の前まで行ったことはありますが、今回初めて蔵内に入ることができました。台風で浸水しやすかった東風平の工場から現在の場所(八重瀬町)に移転しました。周囲はサトウキビが多く、自然に囲まれてのどかな場所に神谷酒造はあります。
神谷酒造は、1949年に当時の村役場の課長であった神谷俊彦さんが独立創業しました。その後、息子の神谷正彦さんが2代目として引き継ぎましたが、体調を崩したため孫の神谷雅樹さんがその後の歴史を担うことになりました。
見学の際は3代目の雅樹さんが案内してくれましたよ♡
杜氏になった当初は、泡盛造りの右も左も分からず様々な苦労したそうです。味が変わったと指摘された時期もあり、そんな中で蔵を任されて苦悩や困惑、不安も大きかったと思います。しかし、雅樹さんのすごい所はめげずに泡盛造りの基礎を学びに他の酒造所に出向き、修行したことです。
優しそうな表情からは感じ得ない内なる闘争心、忍耐力、追求心に気付かされました。
原料米となるタイ米は酒造組合で共同購入しているので、原料米にこだわることは難しいのかもしれませんが、それ以降の工程には様々な工夫がされています。
雅樹さんがおっしゃっていた工夫の1つに「2度蒸し」があります。しっかり米の内部まで蒸し上げるため、また蒸しムラをなくすためにに1度蒸した後に散水して2度蒸しを行っています。どのくらい水を散水するかも研究したのかな?
こんなジョウロ使っていたらかわいいな♡なんてね。注ぎ口が上向いていて使いにくそうだけど(笑)ぞうさんじょうろ!幼稚園にあったな♡ 懐かすぃ〜 (^ ^)
(引用:https://sumally.com/p/370879)
丁寧に説明してくれている横でパシャリ⭐︎ 何だかお米が見えてきそうな手つきですよね。ここで麹を触りながら状態を確認して、必要な手を加えながら約2日間、目をかけ手をかけ、麹のお世話をしていきます。製麹は泡盛の酒質に関わる重要な工程の1つなんです。
そう!この三角棚で麹造りを行っています。温度センサーがあって温度管理がしっかりできるようになっています。送風機もあり、高温になってきたら自動で送風し温度を下げます。しかし、低温の場合は管理が難しく雅樹さんはヒーターを使用しているとおっしゃっていました。意外に沖縄の冬は寒いですからね(T T)私も冬は苦手です。。。
これが醪⭐︎ 日々の変化を見ながら手作業で撹拌しています。おいしくな〜れ⭐︎おいしくな〜れ⭐︎
蒸留器ですよ♡ 左が移転前からある常圧蒸留器、右が移転後に設置したオニュウの減圧蒸留器。新旧のコラボレーションも風情がありますね。常圧と減圧特有の泡盛を作りながら、ハイビスカス酵母やマリーゴールド酵母を使用した泡盛も造っています。
減圧蒸留器の電源までいれて下さいました。小さい窓から中の様子が見れるようになっています。雅樹さんの優しそうな感じが横顔からも伝わります⭐︎
同じ銘柄名の「はなはな」ですが、白いボトルがハイビスカス酵母で造った泡盛。緑のボトルがマリーゴールド酵母で造った泡盛です。
マリーゴールドは神谷酒造がある八重瀬町の町花だそうで、カラベジプロジェクトの取り組みで造った泡盛です♡
(引用:http://japanism.info/free-photo.html)
マリーゴールドの花言葉を調べてみました。黄色は「健康」、オレンジは「予言」だそうです。どの色も元気で綺麗で明るくて力強い色で好きです。健康第一だからな〜黄色のマリーゴールドでも植えてみようかな♡ 誰かから頂いた方が効果あるかな(笑)
カラベジプロジェクトでは色々な商品開発がされていました!その中で私は紅イモチーズケーキが気になりました(^ ^)甘いもの好きなので♡
蒸留したての生まれたての泡盛です。ん〜なんとも言えない香りがします。
どちらか言うと、油っぽくごげっぽくて雲仙普賢岳の雲仙地獄に行った時みたいな硫黄臭がして、いつも香っている泡盛の香りとかけ離れすぎて驚きでした。
この状態の泡盛が貯蔵して寝かせると熟成して風味が変化すると考えると不思議ですよね♡
出来たての泡盛は少しクセが強いです。美味しく頂けるように、神谷酒造ではまず甕で寝かせます。そうするとガス臭や硫黄臭を除去でき、早く熟成できると雅樹さんは教えて下さいました。そして後ろのタンクでさらに寝かせて古酒になっていきます。現在は平成21年蒸留泡盛が最古で貯蔵されています。
神谷酒造は現在4人で製造しています。雅樹さんの両親と奥様です。もう一度言いま〜す!4人です!!
すごくないですか!? 本当に大変だと思います。泡盛を造り、詰め、出荷し営業までこなすには完全に人手不足な気がしますが、タンクが一杯で多くは作れないそうです。ある意味希少価値ありますね。商品1つ1つ、人の手で行われていて温もりと愛情を感じます。少しくらいラベルがズレていても愛嬌と思えそうですが、本当に綺麗に貼られています。器用だぁ〜⭐︎
これはキャップの外側から締める薄いプラスチックカバーを成形する機械ですごく熱いです。熱することでプラスチックが溶けてぴったりと締まります。1つ1つを仕上げていく姿を想像していたら写真に収めていました(笑)
神谷酒造の工場長、神谷雅樹さんです。優しそうな方でしょ? 優しくて何だか癒し系?ゆるキャラみたいな癒し感がありました⭐︎ 見学の際は丁寧に説明して頂きました。ありがとうございます。
泡盛造りをしてて大変なことは、うまく麹が生えなかった時だそうです。製麹は酒質を左右する大切な工程なのでうまく麹が生えないということは米の糖化がうまくいっていない可能性があり酵母が予想よりアルコールを生成してくれず、米も残り蒸留の際に焦げてしまう可能性もあります。
泡盛造りをしてて嬉しかったことは、鑑評会で賞を頂いたり、飲んだ方から美味しいと言って頂けた時だそうです。皆さんの笑顔がさらに神谷酒造の活力になっていくので是非、蔵元に行ってみてください♡
ちなみに神谷酒造の主要銘柄「南光」は南部に明るい未来を照らす光になるようにと願いが込められています。沖縄を表す「南」から本土に向かって発信する「光」をイメージして名づけられました。宝船や鶴は幸せを運ぶ象徴としてラベルに登場しています。
今回の酒造所見学で気になったワード「2度蒸し」に関して調べたのでまとめます⭐︎
得意のマイワールドなのでここからは読みたい人だけ⭐︎
まず、泡盛の品質に重要な工程の1つに「麹造り」が挙げられます。
泡盛麹造りの主役は黒麹菌で、その黒麹菌が米の周囲にうまく繁殖すること(破精廻り)が大切です。米を糖化させるために必要な黒麹菌ですが、米のデンプンを糖化させるためにはしっかりと黒麹菌が米の内部にまで菌糸を伸ばすこと(破精込み)が必要なのです。そして菌糸の先から出る酵素が米のデンプンを加水分解しブドウ糖へと変化させます。
泡盛の原料米として使用されているタイ米。様々な理由からインディカ種のタイ米を使用していますがその1つとして製麹の際に扱いやすいという点があります。米のデンプンにはグルコースの繋がりの違いでアミロースとアミロペクチンの2種類があります。
アミロースが直鎖状であるのに対しアミロペクチンは枝分れ状になっています。この構造の違いが性質の違いを生んでいますが、枝分れ状のアミロペクチンは粘りの原因になります。
泡盛製造に使われるタイ米はアミロペクチンが少ないインディカ種なので蒸しあがりはパラパラしています。国産米であるジャポニカ米はアミロペクチンがインディカ種より多く蒸すとべたつくので菌が繁殖しにくい状態になってしまうことがあります。
(引用:http://pocketmedica.jp/recipe/point_detail/26/)
麹菌が繁殖しやすい温度と原料米の硬軟度(外剛内柔)がポイントになってきますが、温度は大体の菌類が生存・増殖しやすい温度36〜38℃です。原料米の硬軟度は含んでいる水分量で変化します。
蒸米の水分量が約36%がベストとされていますが、タイ米を1度蒸し後の水分量は30.8%、2度蒸し後は35.9%となります。ジャポニカ米で有名なコシヒカリは1度蒸しで34.2%も吸水します。だから、タイ米を使用している場合は2度蒸しが必要になってくるのだと納得しました。
(参考文献:安藤義則 他3人:焼酎用好適県産米の選抜、鹿児島県工業技術センター No.26(20012) http://www.kagoshima-it.go.jp/pdf/kenkyu_report/k_report_2012_05.pdf#search=%27インディカ米+蒸米+水分量変化%27)
(参考文献:豊川哲也、玉村隆子、比嘉賢一:泡盛原料米の吸水機構の解明と制御法開発
- 砕米と健常米(丸米)の違いについて -、沖縄県工業技術センター研究報告書 第15号 平成24年度 http://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/kogyo/kikaku/kenkyuhoukoku/documents/2012_p029_web.pdf#search=%27インディカ米+蒸米+水分量変化%27)
(参考文献:野白喜久雄:白米水分と吸水率、日本釀造協會雜誌、第71巻第10号https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/71/10/71_10_744/_pdf)
米に水分を吸水させるための方法は「蒸す」だけではありません。蒸す前に「浸漬」させる事で米の水分吸水率が高くなります。またその浸漬させる水の温度や時間でも変わってきます。浸漬させる前に乾燥させたり削ったりと方法は様々あるようですよ(^ ^)
見学日:2017年04月19日
文:泡盛マイスター 新里 葵
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